子育ての秘訣

この人に聞く 連載第二回

人生の先輩の考える子育てとは

太平洋製糖株式会社 社長 山下祐司氏
太平洋製糖株式会社 社長 山下祐司氏

1. 砂糖の会社に入社され、主にどんな仕事、テーマに取り組んでこられたかお聞かせください。

精製糖工場部門では、動力課・機械課・技術部に配属される。
動力課ではボイラ・タービン・発電機の運転管理をし、工場に必要な電気、蒸気、水、エアー等の供給業務。
機械課では精製糖工場全設備のメンテナンス・管理業務。
技術部門では、精製糖工場設計管理業務、精糖技術・設備の開発、糖質研究所の建設、研究設備の研究開発業務。
管理部門では、総務人事部、経理・財務部を担当。砂糖の営業部門である業務部なども経験。
精製糖工場では、省エネルギー、精製糖技術の開発。
管理部門では、共同生産化への取り組み。あらゆることにチャレンジし経験したことは大きな財産になっている。

2. 猛烈サラリーマンだったようですが、ご家族の反応は如何でしたでしょうか、お聞かせください。

子供が小さな頃はさほどでもなかったが、もの心がついてきた頃から、「お父さんは休みに何処にも連れて行ってくれない。よそん家は、何処何処に連れて行ってもらったのに。」とか、「うちは何で何処にも連れて行ってくれないの?」といった集中砲火を浴びました。それはつらかった。「男はつらいよ」です。

私の性格上、「男は家族を犠牲にしてでもやらなきゃ(仕事を)いけないときがあるんだ。」という意識がすごく強かった。家庭崩壊しなかったのは、かみさんのおかげ。あるとき、急につき物が落ちたかのように理解をしてくれた。私に言ってもムダだとあきれかえったのか。見切りをつけられたのかわかりませんが。

子供たちには、「お父さんの仕事は大変なんだよ」と、私を立ててくれ、おかげで子供たちも理解をしてくれていたようです。かみさんには、ありがとうと口に出しては言ってないけど、影では手を合わせ心から感謝してます。たまにけんかもしますが。

3. サラリーマンとそれ以外の時間のオンとオフをどのようにしていらっしゃいますか、お聞かせください。

以前は、ほとんど休むことはなかった。あるとき、上司から仕事は仕事、休むときは休むと割り切ることが必要、とのアドバイスをうけ、仕事のときは仕事に集中。それ以外のときは、リフレッシュに努めています。

趣味は、ウォーキング、ジョギング、サイクリングですが、実は体を動かしながら仕事に関するヒントがないかよく考えています。意外とひらめきがあります。割り切ってといいましたが、これではオンもオフもないのかもしれません。本当のオフは、熱を出して寝ているときだけかな。この性格は、死んでも直らないかもしれません。

4. 現在の砂糖を控える風潮に関して、一言お願いします。

ナンセンス。最近の風潮として、何かにつけ砂糖が悪いものの代名詞になっています。あなたは子供に甘いとか、このネジは甘いとか。砂糖は太る。メタボになる。糖尿病も名前が名前だけに砂糖を食べ過ぎたのが原因だと皆さん思い込んでおられる。

砂糖は純粋な炭水化物です。炭水化物にはごはん、パン、パスタ等日々皆さんが口にしているものばかりです。もし、砂糖が悪いものであれば、ごはんもパンも食べないほうがよい。砂糖のカロリーは1グラム当たり4キロカロリー。大人が1日に消費するカロリーは約2,500キロカロリー。このうち脳で消費されるカロリーは約20%(500キロカロリー)もあります。砂糖に換算すると約125グラム分が脳で消費されていることになります。

砂糖は美味しくて、砂糖を使ったケーキなどつい食べ過ぎてしまうため、砂糖を控える風潮があるようですが、食べたいものを控えるほうが逆にストレスになり、食べ過ぎの原因となっているのではないでしょうか。糖尿病の方も、低血糖になったとき必要なのはブドウ糖。砂糖は食べてすぐに体内でブドウ糖に変わり血糖を上昇させます。甘いからといって、砂糖を使用していないキャンディーを食べても血糖は上昇しません。結果的に、糖尿病の方も砂糖は必要なのではないでしょうか。何事もバランスが大切だと思います。

5. たくさんの若い人達を部下にお持ちと思いますが、最近の若い人達から感じられることを、お聞かせください。

見かけによらず、しっかりしている。

6. その他、お仕事を離れてでも結構ですが、子育て真っ最中のお母さん、お父さんに何かアドバイスをお願いします。

子供を育てるということは何につけ大変。私たちは最初の子供が双子の女の子。初めてづくしで生まれて4ヶ月はまともに寝ることもできず、かみさんと一緒にそれは想像を絶する闘い。気が狂わんばかりの日々。これが子供を育てるということかと。

仕事から帰ると、日中子育てしたかみさんはぐったり。子供を風呂に入れ、ミルクを飲ませる。うちは母乳で育てました。2月生まれだったこともあり、2〜3時間おきにミルクを飲ませるのですが、冷蔵庫に保存してある母乳をひとり分ずつ湯煎して飲ませます。これが結構時間がかかる。二人飲ませ終わった後、うとうとしていると、もう次のミルクを飲ませる時間。これが4ヶ月くらい続くとさすがに体力も落ち、おまけに体重も10キロ減。ダイエットにはいいかもしれませんが。

苦しい、大変な時は経験者に相談したらいいと思います。苦しく、大変なときに子育てを楽しむなんてとんでもないと思いますが、後々考えると大変な時期は瞬間。なつかしく思えます。今を楽しんでください。ご夫婦で。子供は応えてくれますよ。6年後三人目が生まれましたが、双子で経験した子育てからすれば楽勝。

エピソードを一つ。私たちの頃は紙オムツが普及し始めた頃でしたが、木綿のオムツを田舎からたくさん送ってきたのでこれを使用。ある日、水道局の人がメーターの検診に来た折「お宅漏水してますよ」といわれました。頭をよぎったのは、オムツを洗うのに洗濯機をまわしっ放しにしているからだと。省エネには紙オムツがいいかもしれませんね。産業廃棄物にはなりますが。


太平洋製糖株式会社 社長 山下祐司氏 菜根譚
発行所:日本能率協会マネジメントセンター
編者:王 福振(Wang Fuzhen)
訳者:漆嶋 稔

鼠(2010/02/01)

山下祐司 氏 プロフィール

生年月日

昭和26年3月22日

出身地

広島県
日本三景のひとつ、風光明媚な安芸の宮島を眺めて育つ

現役職

太平洋製糖株式会社取締役社長
塩水港精糖株式会社取締役

略歴

昭和48 塩水港精株式会社横浜工場に入社
平成9年 総務人事部長
平成9年 砂糖の普及啓発施設「横浜さとうのふるさと館」館長兼務
平成20年 太平洋製糖株式会社取締役社長
平成20年  塩水港精糖株式会社取締役

趣味

ウォーキング、ジョギング、サイクリング

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