子育ての秘訣

子育ての『いろは』

こどもの社会性を育てるには・・・

連載4 他人の心が分かる子に育てるには自己主張から

幼児期に十分な自己主張をさせておかないと、他人の気持ちが分からず我慢できない子どもに育ってしまいます。

人が社会で生きていくには社会性が必要です。
・自分の欲望や感情をコントロールする「我慢」
・他人の心が分かる「共感性」

我慢については以前に次の記事を書きました。

「最初が肝心・我慢できる子」

ところが、この我慢できるしつけにも気をつけなくてはいけないポイントがあります。2歳前後までの自分の目の前のものしか見えていない子どもを、無理やり我慢させてはいけないのです。その理由をご説明します。

我慢するためには、自己主張が必要

我慢するという前提には、子どもの強い欲求がなくてはなりません。それが出てくるのが「自分が〜」「自分で〜」と言い出す2歳前後なのです。

この時期に十分に自己主張させてやらないと、我慢することも覚えられず、他者の欲求が理解できず共感性も育ちません。

どうやら現代の子どもは、親が先回りして「これをどうぞ」「これはいけないものだから遠ざける」とやってしまい、十分に自己主張する機会が減っているようなのです。
そのため5歳前後で2歳児のように聞き分けの無い振る舞いをする子どもが増えているとのこと。

自己主張を受け入れるのと言いなりになるのとは違う

自己主張を受け入れるのと言いなりになるのとは違う

自己主張を十分にさせるというと、何でも子どものいう通りにすると思いがちですがそれは違います。十分に感情を発散させろということです。お菓子が食べたいと駄々をこね泣き出してもあわてずに、十分泣かせます。一度内部にたまった感情を十分に発散させるのです。

少し時間が経てば落ち着いてきますから、そこで「今はダメだけどおやつの時間にね。泣き止んでくれて嬉しい」と抱きとめてやります。泣き止まなくても抱いてやっても構いません。抱かれまいとして暴れたら、まだ怒りが収まらないので「知りません!」などと言わずもう少し時間をやります。「良い子の時だけ好き」というメッセージを発するのは危険です。「駄々をこねていても好き」と温かく見守ることが肝心です。

大人のようにいつまでも引きずる子どもなんていません。時間が経てば必ず回復します。こうしたプロセスを経て、我慢する段階へ進めるのです。また、自分がこうした悔しい思いをすることが、他の子どもの気持ちを理解できる道となっていきます。

発達段階を急がせない

発達心理学で子どもの精神的な発達段階が分かっています。各段階を十分に時間をかけて通過していくことが、子どもの心身の発達に欠かせません。早く大人にしようとしないことです。

優等生の子どもが引き起こす事件というのは、こうした発達段階のすっ飛ばしにあるのではないかとも言われています。親の言うことをなんでも聞く良い子は、感情のコントロールを学ぶ時間がなかったのかも知れません。

楽な子育てには落とし穴があります。2歳くらいで我儘を言って困るということは、自我がしっかり育っているということの裏返しです。

もし5歳前後で2歳児のような振る舞いが見られたら、この段階を再度経験させなくてはなりません。2歳児と同じように感情を爆発させて、それが収まるまで待つということを繰り返します。

実は思春期の家庭内暴力の癒し方にも「育てなおし」という方法があります。子どもの時期のやり直しです。十代後半でこれをするのはしんどいです。子どもといっても力がありますし。
したがって、最初の自己主張をきちんと受け止めることが、子どもの健全な心の発達にとって大事なことだとご理解ください。

羊(2009/11/17)

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